無題

昔書いてたやつですこれは

面倒なこと

部活に向かうために乗ったバスから逃げるようにして降りて、俺はこれからどうしようかと考えていた。

部活をサボるのはこれで何回目だろう。別に特別下手とか、みんなの足を引っ張っていると言う訳でもないのだけれど、本当に行く気が起きない。嫌いなものは嫌いとしか説明できない。

とりあえず誰かに会わないように時間を調節しながら、駅まで向かった。良さそうなクーポンは無かったけど、マックに入ってコーヒーを買った。

色々なことを気にした。店員さんは俺のことをどう思っているのだろう。平日のこの時間帯に制服で来る客のことを。

恐らく店員さんは俺のことなんかひとつも気にしてないだろうけど。ポテトが揚がった音を聞き逃さないことで頭がいっぱいなんじゃないかなきっと。

この人はこうやって部活や学校やらをサボってマックに来るクズ学生を何人見てきたんだろう。バイトをした経験はまだないけど、俺だったら軽くぶん殴ってやろうかと思うんじゃないかな。見ててイライラするよね、こっちは必死で働いてんのに。サボってるやつを見ると。

4人用の机を贅沢に占領した俺の周りには、似たような人(主にジジイ)がいっぱい座っていた。ただただ空中を定まらない視点でぼんやり眺めてたり、尋常じゃない速さで貧乏揺すりをしてる人もいたり。PSPで何かを狩ってる人もいたっけな。

この人たちはいつもこうやって生きてるんだろうか。仕事は?家族は?色々なことが気になって仕方がなかった。

きっとそれぞれの人にそれぞれの事情があって、色んな人生があって、今ここのマックで俺に観察されるまで様々な経緯があったんだと思う。多分俺が知り得ない想像もつかないような絶望を味わった人だって沢山いるだろう。そんな俺の幼稚な想像はよそに、ジジイ達はそれぞれの持ち場を守って、いそいそとそれぞれの日常を創っていた。俺がいつか歳をとってこの集団の中に加わるまで、それ程時間はかからないような気がした。

俺と部活、ひいては学校をこれほどまで切り離すものは一体何なんだろう。何が嫌で俺はこんなに日々が憂鬱で仕方ないんだろう。

わからない、何も。

くだらないと思えるようなことでゲラゲラ笑っているクラスメイトのことも。俺に会うたび気味の悪い笑顔で近寄って来る部活の奴らも。幸せそうに笑う彼女も。誰も彼もが、俺とは正反対の方向に進んでいっている気がする。

いつまでこんな日々が続くんだろう。死ぬまで?もしそうだとしたら、俺は命を絶つことも躊躇わない、今の俺はそれぐらいの精神状況に置かれている。つまり最悪である。

いくつになったら。

いつなんだろう。自分がこの上なく幸せだと思えるのは。誰かに愛されて、必要とされるようになるのは。俺には正解を鳴らしてくれる鐘は持っていない。何が正解なのかは多分一生わからない。

もしかしたら、人生で一番幸せな時間なんてものはもうすでに来ていて、俺がそれに気がつかなかっただけなのかもしれない。

そんな最悪なシナリオは、嫌だ。